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第二章「腐食」 8
長い夜が今、丁度半分を過ぎた。
同時に、ジョンがしていた腕時計がクリスマスの終わりを告げた。
この上無く空虚なクリスマスだった。ジョンは唾を吐いた。
「あー。ただ今クリスマスが終わりました、とさ。」
こんなにもどうでもいいクリスマスは初めてだ。皆、ため息をつく。
「スクルージが羨ましいよ。」とレイ。彼にしては珍しいジョークだった。
が、笑えねぇよ、とロバートに一蹴された。
冷たい雪は止んだまま降ってこない。歩道に植えられた枯れ木の根本に微かに積もっている。
しかし、身を震わせる寒さは健在だ。空気を吸い込む度に肺が冷や水を入れられたように冷たくなる。
すると、遠くで十数体のノーアイズが闇の中をさまよっているのが見えた。
遠くといっても100メートルだ。気付かれる距離だ。
しかし、そこの前には十字路があった。
静かに左か右どちらかに避けられたら問題はない。