第二章「腐食」 7
凄まじい爆発が起こった。その一瞬のうちに、稲妻のような閃光、何もかも吹き飛ばす爆風、唸る爆炎、猛る爆音、その全てが老人達を襲った。
爆風が容赦なく四肢を散切りまくり、爆炎が溢れ出た血液諸とも焼き尽くす。店内から外に向かって強烈な稲光と爆音が漏れる。
アッシュのグレネードは全て彼自身が手を加えているものだ。破壊力が異常なまでにおかしい。かつて、マフィアだったロバートからその能力を買われ、勧誘された事がある。
「すげぇ花火だ。」
「どうもっス。」ロバートの歓声にアッシュは軽く礼をした。当時、彼はネットの情報を元に遊び半分でグレネードをいじっていたので、そんなことで裏社会に巻き込まれるのは御免だった。しかし、世界がパンデミックを起こし、その中で自分がこのようにして役に立つとは思ってもいなかっただろう。
冷たい風と共に煙が舞った。
爆発が起こった店内は、壁が抉られ、床に巨大な穴が開き、建物と呼ぶに値しないものと化していた。衣料品は全て灰となり、空気中を漂っている。
そんな中で眼球が一つ床を転がっていた。中に入ってそれを見つけたレイは躊躇なく足で踏み潰した。ノーアイズの餌になったらいけないからだ。