第二章「腐食」 5
「行くぞ。ロバート、戦陣を切ってくれ。」
「あいよ。」ロバートはだるそうに立ち上がると、ウージーを片手に車の陰からのそのそと出た。
対人戦は幾度となくやってきたが、あまり気分が良くなるものではない。
人間の場合、特に乞食はノーアイズより欲に対してしつこい。
しかも、意思して弾を避けようとする。
おまけに、気を許すと一瞬で裏切ってくる。
だから…
「命が惜しい奴はすっこんでろ!!」ロバートは叫んでウージーをオートで速射し始めた。
「うおあぁぁ!!」対して、老人達は物陰に隠れた。
「奴は命が1つって事を知らないのか!?」
「命の使い方が粗末すぎる!」
銃声の合間合間にジョンの耳に老人達の叫び声が届いてきた。
老人達のBARの銃撃が止んだ。老人達は皆物陰に隠れ、ロバートの銃撃の終わりを待つ。まだウージーが五月蠅い乾いた音で唸り続ける。
その時、ウージーを腰だめにして撃つロバートが叫んだ。「おら、どうした乞食共!!命の算数タイムは終わりだぜ!!」
乞食がその言葉の意味を知ったのはその2秒後の事だった。
「アーメン。」潜む老人達の背後で少年の声が聞こえた。