序章3
ノーアイズ。
ぬめぬめとした粘着質の白い肌、長い紫の舌、鼻が曲がる程の腐敗臭。そして、顔に並んだふたつの黒い窪み。攻撃、威嚇時はそこから黒い体液が涙のように流れ落ちる。
ノーアイズの餌は哺乳類の目。発生当時は目を2つ食べると5日動けたらしいが、今なおされ続けている進化で程度は明らかになっていない。
ノーアイズは目の補食と共に繁殖も行う。目を抜き取り窪みになったところに体液を注入する。すると、まず視神経が破壊され、そのまま中枢神経、脊椎を蝕み、脳に至る。次に内臓、筋肉を腐らせ、最後に肌質、血液、さらに内臓構造までもが変化してしまう。
人によって時間の個人差はあるものの、致死率は100%。ワクチンも開発されていない(あまりの猛威に開発の時間さえなかった)。
しかし、ノーアイズは元々とはいえ人間なのである。
よって最初、アメリカはノーアイズを殺す事は人間を殺す事とみなされ犯罪として扱われた。ワクチンの希望に掛けた行為だったのだろうが、前述した通り、失敗に終わった。
そしてノーアイズへの対応が遅れ、人間定義の甘さが人間を殺す結果となってしまった・・・。