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第一章「月光」 17
「何だ!?」急な爆音に心臓が飛び上がった。見ると、少し開いたドア下の隙間から、黒い液体が流れ出てきた。
まさか…。
ドアの真正面に着いた。足元ではまだ黒の池溜まりが広がっている。
意を決してドアノブに手を掛け、勢い良く開けた。
扉の向こうにはショットガンが落ちていた。しかし、その脇にはブルの死体が横たわっていた。壁を見ると、小さい散弾の弾痕がいくつも開いていた。洗面台の鏡には、ブルのものだと思われるおびただしい量の血痕が付着して、ゆっくりと滴を垂らしている…。
暴発だ…。ブルがいじっている内に誤って引き金を引いてしまったのだろう…。腐った臓物の堪らない匂いがボブの鼻をつく。
落ちているショットガンを拾うと、その銃身に涎と傷がついているのを発見した。これはオモチャじゃねぇんだぞ…。ハンカチで拭くと、唾液が糸を引いた。
弾を詰め直し、ポンピングし直した。「全く…手間かけさせやがって…!」
愚痴ってから振り返る。
すると突如、
振り返った目の前で、大きく開かれたブルの口に並ぶ無数の牙がどんよりと鈍く光った。