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第一章「月光」 16
ボブは確信した。ありゃ俺のショットガンが床を叩く音だ…。と。
忍び足で階段を上っていく。踊り場に出ると、音が大きくなった。
「野郎…確実に居やがるな…。」さらに上ると二階へ着いた。周りの景色を見渡すと、殺風景になったのは一階と同じだったが、壁に張ってあったチキンバーガーの宣伝ポスターが引き裂かれていた。
「ここのチキンに何の恨みがあるってんだ…」
そう呟くと、キィコ。キィコ。次は違う音が聞こえてきた。ドアの蝶番がきしむ音だ…。見れば、正面奥のトイレのドアが割れた窓から漏れた風で不気味に揺さぶられていた。
もう居るならあそこしかない。ボブは決心して一歩一歩おそるおそる近づいた。
握ったスミスアンドウエソンのグリップに手汗が滲む…。
心臓の鼓動が早くなる。喉元から飛び出しそうだ。
ドアに近づくにつれ、足の震えが大きくなっていく。
と、その時、
ズダァァァァァァァン!!!
突如、雷のような銃声が轟いた。