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第一章「月光」 14
すぐさま逃げるブルにマックスがグロックを連発したが、弾が間に合わず、全弾地面の堅いコンクリートに弾かれた。「速ぇ!」
すると、「どいて!!」弾の当たらないマックスに痺れを切らしたジャニスがマックスを押し退けてショットガンを構えたが、時既に遅く、ブルは車の陰へ入ってしまった。
しかしブルは尚も走り続け、やがてある店の中へ飛び込んでいった。
その店はバーガーショップ。ボブのお気に入りの店だった。パンズに挟まれたチキンの皮がとても旨かったのに、今は見る陰もないほど中は闇に支配されており、入り口の自動ドアの破片が冷たい床の白黒のタイルに散らばっていた。
「…やべぇどうしましょ…」ボブはジョンに涙目で聞いた。ブルが店内に渦巻く底無しの闇に姿を消した。独りで取りに行くのは嫌だ。しかし、
「行ってこい。独りでな。」ジョンに最悪の受け答えをされた。
「えぇ!? そんな…!」
「当たり前だ!! 自分のケツは自分で拭け!!」
ボブは渋々手に馴染みのないサブウエポンのハンドガン、スミスアンドウエソンを手に握った。装弾数15発…。