21/186
第一章「月光」 11
「げぇっ、やっぱ来やがったじゃん!」最後尾のマックスが振り向くと、30余りのブルがすぐ後ろを走っている。真っ先に襲われるのは俺?!余りの焦燥感で涙が出てきた。
すると、ジャニスがマックスに平走してきた。「あら、ワンちゃんが怖いの?」
「あんなのワンちゃんじゃないよ!」顔が汗と涙でぐちゃぐちゃになったマックスに対して、余裕の表情を見せるジャニス。
「だらしないわね。ちょっとボブ、手伝って。」ジャニスはため息をつくと、走っているボブの太い腕を強引に引っ張った。
「な、何だってんだ?!」ボブはバランスを崩した。その刹那に後ろのブルが視界の中に入った。「…逃げねぇと!」
「早く構えて!!」そう叫んでジャニスはショットガンの照準を迫り来るブルに合わせた。因みにショットガンはフランキ社のものだ。
「…殺るってのかい。オイ。」ボブも仕方なくショットガンを構えた。全く…この強引な気性には滅入るな…という顔をして。