20/186
第一章「月光」 10
ノーアイズの発生当時の餌は人間の眼球だけだったが、餌が不足したところで、ノーアイズは人間のものだけでなく哺乳類全般の眼球を食べられるように進化した。
従って、人間型以外のノーアイズも出てくる。
その中の一種、犬のノーアイズ、通称ブル…。
「おい誰だ…マルチーズとか言いやがった奴は…!」苦笑するボブ。横にレイが居たが、何も答えない。背筋に走った戦慄が止まない。
ブルの群がじわりじわりと寄ってくる。
すると「…こりゃ、逃げっスね!」アッシュがその場から全速力で逃げ出した。
「あっ!おい!」制止をかけたがアッシュは聞かず、そのままブルの囲いの隙間を縫い、闇の中へ消えた。
直後、「早くしないと巻き込むっスよ!」その闇の中からアッシュの声が聞こえた。こちらへ振っている手が微かに見える。
「あの自己中野郎っ!皆、追いかけるぞ!」それを見てジョン達もアッシュに追いつこうと走り出した。
瞬間、ブルの群れもギャンギャン吠えながら、ジョン達を猛スピードで追いかけ始めた。