第七章「煉獄」 13
ダークネスが、今、死んだ。
レジスタンスは遂に悲願を成し遂げたのだ。
そう、今立っているノーアイズは、レジスタンスのリーダー、ジョン。
床に転がり、血達磨になって死んでいるノーアイズは、レイ。
ジョンは、深く息をついた。
二か月に渡るノーアイズとの闘争への終止符。
ようやく終わりを告げた、戦争。
窓から見える夜空を仰視する。
空が赤みを帯びていた。
弱弱しい夜明け前の月が、ビル蔭の向こうへ落ちていく。
耳を澄ますと何処からともなく雑踏が聞こえてきた。
次の瞬間、ジョンは死んだ。
背後から無数の弾丸が彼の身体を貫いたのだ。
合計57発の銃弾を受けた彼は、何の間も無くして事切れた。
「スミス団長、バース副団長!!中のノーアイズを仕留めました!!」
「そうか、じゃあ全員、中に入ろうか。」
「サー!!」
団長スミスの号令で部屋に入るレコンキスタの一同。サムが死に、スミスが跡を継ぐと団内の秩序は回復し、かつての姿を取り戻した。
中には、一人の人間と二体のノーアイズが血のまどろみに横たわっていた。部下の報告によると、人間とノーアイズの一体は元から死んでいたらしい。
すると、人間……この男がダークネス……!
部下の一人が部屋中央のデスクに向かう。デスクのパソコンで制御されているノーアイズとBiggeRを駆逐するためだ。
「終わった……な」スミスの横にいたバースが呟いた。
「ああ、……だが、無様だな……ダークネス……」
「そうだな、自分の作ったモノに殺されるなんてな……神様の罰が当たったんだろうよ」
「はは、まぁ、何にせよ、良かった」
「あぁ…………おっと、そうだ、せっかく仕事が終わったんだ、何か記念になる事を……」
「……と、言うと?」
「飴玉だよ」
「……そうだったな」
二人はそれぞれ、ポケットの中の紅く大きい飴玉を手に取った。
「……じゃあ、この腐り果てた世の中に……」
「目一杯の皮肉の意を込め……」
==乾杯。
口の中に放った飴玉は、何故か酷く苦かった。