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第七章「煉獄」 12
そうした直後、ミシェルの意識がぷつりと途絶えた。脊椎が折れる、鈍い音と共に。
一瞬の沈黙。
やがてミシェルの頭蓋を持ったノーアイズが、一言呟き、沈黙を破った。
――レイ……。
床に転がった、銃殺されたノーアイズに、跪いて手を触れる。
――ありがとう……。そして……すまなかった……。
振り向くと、ダークネス、ミシェル・ドラクロアの斬首死体が無残に転がっていた。そこに、彼の頭蓋を放り投げる。宙で放物線を描いた頭蓋は、床でしばらく不規則な軌道で転がった後、止まった。そこに、小さな血溜まりが出来た。
赤い血。
正真正銘、人間の血だった。