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第七章「煉獄」 7
コア・ビル122階。
ミシェル・ドラクロアが机上の紅茶を一口含む。部屋の巨大な窓から、滅んだ世界を見降ろしていた。
ーー最早世界は私の物だ……。
勝利を確信し、ほくそ笑む。
ミシェルの瞳孔が街で暴れ回る巨躯……BiggeRを捉えた。辺りビルをなぎ倒しながら、足元で逃げ惑うノーアイズ達を喰らっている様がよく見えた。
BiggeRはノーアイズを喰らう、ミシェルによって作り出された、化け物の上を行く化け物だ。反乱分子をより確実に駆逐する為に、ミシェルのノートパソコンによる操作で直接操られている。
雪解け水が、粘りついた雪の間を縫って窓を伝う。静寂に包まれていく世界。曇天から白雪が酷く舞い込んでいた。
その時、ふと音がした。打撲音と同時に大量の液体が噴き出す音。
何やら廊下が騒がしい。