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第0章「黄昏」
夜が明けた。
サムは辺り一面に広がる死屍累々の山の前に佇んでいた。憔悴した狂気を漂わせ、独り愉悦の笑みを零す。ビル陰から出てきた陰惨な太陽に照らされる。
足元には仲間の死体も転がっていた。眼窪から飛び出した光の無い眼球がサムの背徳の眼球を空しく睨んでいた。
アスファルトにばり付いた肉塊達が腐臭を運ぶ風に揺れる。四散した臓物が艶やかに煌めき始める。
良い夜だった、とサムは呟く。
目の前に広がる紅い花畑。その花達は今、夜明けと共に咲き誇ろうとしていた。
空を仰視する。白み掛かった夜空。光が夜闇を浸食していく。
サムの腹に穴が開いた。紅い血が噴き出し、飛沫が花に降り懸かる。
振り返ると、団員達が銃を撃っていた。皆、銃口を自分に向けて撃ってきている。
「貴様等が主に反逆する気かぁぁあぁ!?」
サムもウージーで反撃をする。しかしその時既に、彼の両腕が弾丸の雨に千切られていた。
やがてその雨に、全身が埋もれていく……。