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第0章「衰退」 14
そう、サムはノーアイズとの肉弾戦を悦しんでいるのだ。
サムの腕に触れるノーアイズが襤褸雑巾のように千切れていく。
右フック。右にいたノーアイズの首が一瞬でもぎ取られた。
左ストレート。正面にいたのが、そこら一辺に血を撒き散らして死んだ。
後ろから襲ってくるのを受け流すと、すかさずその顔面にエルボーを喰らわせ、そいつが悶えている隙に、左から来たノーアイズに鳩尾を蹴って引き離す。と同時にエルボーを喰らわせノーアイズに止めを刺す。その首を持ち上げ、一気に地面へ叩き付けた。サムの掌に首の骨が景気良く折れる感触が伝わってきた。
鳩尾を蹴られたノーアイズが再び襲い来る。それを上段後ろ回し蹴りで強引に地面へ倒すと、サムはその鳩尾を踏みつけて、そのノーアイズが起き上がってくるのを制止した。
ノーアイズがもがけばもがくほど、サムは踏み付ける脚の力を強くしていく。ノーアイズが無意味に動かす手足。サムはその中の一本、左腕を握ると、思い切りそれを肩からぶち抜いた。