第一章「月光」 7
「足引っ張んなよ、クソキザ!」
「そちらこそ。」ミシェルは目にも留まらぬスピードで懐から抜いたのは、ベレッタ。装填数15発、反動が軽い上、重量もない、優れた米軍公式銃…。
それをミシェルはなぎ払う様に連射する。当たる訳ないだろ、とロバートは鼻で笑ったが、次の瞬間には向こう10メートル以上にいるノーアイズが、聞こえた銃声と同じ数だけ地に伏した。
「2人に遅れるな!」直後、ジョン達の援護射撃が加わってきた。
そして間もなく、襲い来るノーアイズは居なくなった。全滅した。パトカーが黒に染まっている。
「…先を急ごうか」それを見てジョンは再び歩き出す。ボストンからニューヨークまでの道のりは長い。が、出来るだけ早く決着を着けたい。ノーアイズが、手に負えない様な進化を遂げる前に…。
ノーアイズの血糊は踏むとネバネバと靴底にくっついてくる。不快だったが、もう慣れた。
「みんな、怪我はなかったか?」振り返ってジョンは聞くと、皆期待通りの返答をした。死人、特に怪我人が出ないことは珍しかった。
「そうか、良かった。」そうしてジョンはまた前を向き直した
その時、マックスが悲鳴を上げながらジョンの腕を掴んだ。