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第0章「衰弱」 4
老人達が暗闇の中に消えていくと、サムは馬鹿みたいに嘲笑した。「はははははは!!やはりクズは逃げる事しか出来んのだな!!」
しかし、彼の取り巻き30弱からは誰一人として彼につられて笑う者は居なかった。
新米信者、スミス・トンプソンもその一人だ。その様子を呆然と見ながら、臓腑の底で怒りを沸かしていた。「この糞神父、死んでしまえ!!」と、心の中で叫んだ。だが、殺してやるとは言えなかった。他力本願の死の願いだ。彼はあくまでも、一応、神父だ。殺せば天罰が下る。スミスは神父の死を願っていた。出来るだけ、ごく自然な死。戦死。誰かが殺してくれまいかとさえ思った。
「さぁ行くぞ、愚図共」
そして彼を殺せない理由がもう一つ。
サムが鬼神の如き強い力を持っているという事だ。