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第一章「月光」 6
一挙に現れたノーアイズ達は眼窪から黒濁液を滴らせながら、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。威嚇だ。
「構えろ…」ジョンの合図で各自、手にしている武器の照準を、奇怪に蠢くノーアイズ達に定めた。
1体のノーアイズの頭部に懐中電灯の光を当てる。何やらガムを食べる時の様な小さなソシャクをしている。注目していると、ぐちゃぐちゃになった眼球が一つ口の中で転がっているのが垣間見えた。多分先ほどの達磨人間のものだろう…。
直後、突然そのノーアイズが奇声を発し、跳びかかってきた。他のノーアイズもつられるようになだれ込む。
「ロバート、撃てぇ!」
「あいよォ!」ジョンの叫び声と同時にロバートのウージーが唸りを上げた。見ると、片手で撃っている。ロバートにとって、ウージーの重量の3,7キロはどうという事もない様だ。9ミリウージーの弾幕は迫りくるノーアイズ達の体を次々と貫通し、横たわるトラックの車体に当たると火花を散らしていく。
すると、「あぁ、説教の最中に…。」そう零したミシェルがロバートの加勢に入り、そのまま2人は戦陣を切った。