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第六章「瞑想」 44
「……糞。」ミシェルは通信機を静かに目の前の長机に置いた。
コア・ビル122階、自室。自室と言っても、だだっ広い空間ににただ一つの長机のあるだけの部屋だが、その異様な光景からは何故かどこかから荘厳な匂いが感じられる。その部屋に、ダークネス、ミシェル・ドラクロアは世界を見降ろし一人佇んでいた。
「……最近だ。最近になってから特異個体が増えてきている……」ミシェルは長机の椅子に腰かけた。「何故だ……、私は何を間違えた?ノーアイズの何処を間違えた?」
まあいい……。
ミシェルは口元を僅かに歪ませた。
その瞬間、部屋の南の壁を覆い尽くす無数の巨大なガラス窓が響いた。
その響きが、ミシェルの耳に微かながらだが伝わった。
最終兵器「BiggeR」の咆哮。
その咆哮を聞き届けた瞬間、彼の胸が歓喜と狂喜で満ち満ちた。
「今から特異個体の駆逐を始めようか。決して私の計画の邪魔はさせん。」