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第六章「瞑想」 41
ミシェルは熱処理という名の溜息を一つつくと、マイケルの死体を後にし、炎の壁の中へ身を投じた。
当然、火中何も感じるものはない。ただ、少し内部熱が上昇しただけだ。大した事はない。
炎の壁を抜けるとそこには何十体かのノーアイズがわらわらと群を成していた。
ミシェルはまた溜息をつくと、念じた。
(退け、お前達)
すると、群を成していたノーアイズは忽ち廃ビルの中へと姿を消した。
その群れに置き去りにされたのは二つ。
ジョンとジャニスの死体だ。
それらは道路の固いアスファルトの上に重なり合うように横たわり、大きな血溜まりを作っている。
面白いものを見つけた。ジョンの上に被さっているジャニスの頭骸が不自然にひしゃげていた。喰われ死んだジョンの後を追ったという寸法か?彼女の得物はショットガンだったから頭が歪に歪んでいても何等おかしくない。
……ここでミシェルにダークネスからの通信が来た。