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第六章「瞑想」 37
マイケルは嗤った。不意に腹の底から失望と憤怒が何か訳の分らぬ物に変換され、喉仏からせり上がって来たのだ。
「おら、鉄くず野郎!!死ねや!!死ねや!!」
声が震えた。心の臓腑に蓄積していた憎悪がミシェルの頭蓋に突き刺さり、爆ぜる。
業炎はすっかり二人を包み込み、彼らの傍観者として激しく揺れ動く。
黒煙が肺を焼く。煉獄の炎が肌身を焦がす。
「死ねや!!死ねや!!死ねや!!死ねや!!」マイケルの叫び声も、燃え盛る炎の轟音で掻き消される。
弾が尽きる。装填。撃つ。撃つ。撃つ。
ミシェルはもう動かない。
が、この時、炎の中で蠢く者が。
ノーアイズだ。
自身に纏わりつく炎を掻いて、ワルサ―を撃ち続けるマイケルの肩に掴み掛かった。