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第六章「瞑想」 34
なぜ止血帯法をしたのに血が止まらんかった?あまりにもあっさり過ぎんか?!まさか……?!
思ったときには既にマックスは殺されていた。床に臭い脳髄をぶちまけて。ベレッタの弾丸が彼の額を一貫したのだ。
「やれやれ、小指を持って行かれたのは不覚でしたね……。」ミシェルは独り言をぶつくさ呟きながら、無くなった小指の痕を見た。しかし、そこから出る筈の血は噴き出すどころか滴りもしない。
マイケルはとっさにロバートの腐敗した右腕を見た。腕はズタズタに引き裂かれており、上腕の方は肉が抉り出されている。筋肉の束が血の滴を垂らし、静かに二の腕からぶら下がっていた。
「なぁ、ミシェル。これがアンタが言う『治療』か……?!……殺したな!!」
「まぁ、そうですね。彼はもう用済みでしたので。」彼の微笑みから異様な冷たさが感じられた。まるで人間ではないような……
そうだ。悪魔だ。
「地獄に墜ちぃや!!」マイケルは懐からワルサーを抜いた。
だがその前に、腹に二発撃ち込まれた。ベレッタの轟声が連続して二度響いた。