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第六章「瞑想」 32
マイケルは止めに入った。
この銃弾で死ぬかどうかは分からないが、仮にまた起き上がってきたとしても、その時は頭を無理矢理引き千切ってやる。
威勢よく言ったものの、威勢よく行ったものの、かなり分が悪い賭けだという事はマイケルは自負していた。しかもかなり分の悪い賭けだ。だがそれの逆を返せば、どんなに分が悪くとも、こちらにも機はあるという事だ。マイケルはワルサーのグリップを、手汗で滑らないようにがっちりと握った。
死ぬのは怖い。しかし彼の中では、ミシェルへの怒りの方に天秤が傾いている。
マイケルは今、激怒している。
12月27日午前2時6分。
ロバートの死の直後の事だ。