第一章「月光」 4
「五月蠅ぇよ」それを見たロバートは懐からハンドガンを抜くと、発砲した。車窓を割った弾は標的の眉間に命中し、一瞬血柱をあげた。直後達磨はぴくりとも動かなくなった。
「ケッ…」銃声が周りを取り囲む住居に反響して未だ幾重にもこだましている。
「…近いな…」ロバートの様子を横で見ていたジョンは呟いた。
するとロバートは舌打ちして「…またバケモンの相手かよ畜生…久しぶりに女の相手もしたいぜ…」ちょうど真後ろにいたジャニスを猛禽の様な目で睨んだ。
「…何よ…」ジャニスは誰からにでも認められるような美人だ。しかし、
「おいコラ、俺の女に手を出すなって何回も言ったろうが…!」ジョンがジャニスに近寄るロバートの肩を強く掴んだ。ジャニスはジョンの妻だ。ロバートが振り返ると、そこには鬼のような形相のジョンの顔があった。
「2年遅かったわね。」ジャニスが微笑すると、ロバートはまた舌打ちをしてその場から離れた。その離れたところにミシェルが待ち構えていた。
「分別をつけろと過去何回も申し上げたつもりですが…?」
「黙れクソキザ」
ロバートがそう吐き捨てた直後、ミシェルの鼻が異常な匂いを嗅ぎ付けた。
腐敗臭だ。