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第六章「瞑想」 24
「あぁ、駄目ですよ。そんな事をしては……」すると、声がした。どこかで聞いた事のある声。持ち主の姿はもうわかった。だが、この声を殺意が沸く程憎らしく思えたのはこれで初めてだ。
ミシェル・ドラクロア……
「彼はここで死ななければならないのですよ」ミシェルが頬肉を醜く引きつらせながら近づいて来た。彼の右手には銃口から煙を上げたベレッタが握られていた。
そのベレッタが貫いたジャニスの掌からは止めどなく血が溢れ、衝撃で痺れ、動かない。「貴方何のつもりよ!!」
「黙れ」
銃声が響いた。ベレッタから再び放たれた銃弾はジャニスの右肩肉を抉り飛ばした。
絶息した。掻き乱される頭の中。一体何がどうなっている?何故私は仲間に殺されないといけない?
そんな疑問を痺れるような激痛がさらに混沌とさせる。
簡略化されていく疑問。脳が狂って単純計算ばかり繰り返す。
生、死、生、死、生、死。十億字敷き詰められた巨大パノラマ。