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第六章「瞑想」 21
ブルは着地するとジャニスの方を向き、長い紫の舌を揺らした。
だが、そいつが駆け出したと同時にジョンはその頭をぶち抜いた。ブルは吠える間もなく息絶えた。
これで5発目。つまり今、シリンダーは空だ。
「ジャニス!!」呼んだ。交代だ。だが…
「ちょっと、早すぎよ!!まだ私、二発しか入れてない!!」
それもその筈。先程交代してから三秒たりとも経っていないのだから。
「あぁ、クソ!!もういい!!そのまま撃ってくれ!!」
ジョンは心底、焦った。手汗と恐怖からの震えで手元が狂う。シリンダーに弾を入れるのに何度も失敗する。
「ジョン!!」
心臓が跳ねた。ジャニスの声が急に地下鉄の停車音の様な甲高いものに聞こえた。
「早く!!すぐそこまで来てる!!」
この間で、シリンダーに入れられたのはたった一発のみ。
ジョンはその頼りなく心細いシリンダーを銃身にセットすると、前を向き、構えた。