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第六章「瞑想」 16
レイの体は先程のガラス窓から再び弾き飛ばされた。力なく転がり、止まった。だが、まだ辛うじて立ち上がろうとする。
しかし、ボブを助けたあの銃声がそれを許さなかった。
銃弾がレイの足を抉り、腹を貫き、頭を砕くと自らの血の海のまどろみの中、彼は息絶えた。
「だらしがないですねぇ…」声がした。明らかに聞き馴染みのある声だったが、ジョンのような明瞭な声ではなく、何か癪に障るような、厭に抑揚がついた声だった。
ボブは声のした方を振り向いた。
そこにはミシェルが立っていた。
「貴方、怪我しているようですが、何かヘマでもしでかしましたか…?」
「五月蠅ぇよ…クソキザ。…よく帰ってきたよ」再会。一瞬、ボブの頬が自然に綻んだ。