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第六章「瞑想」 15
一瞬の出来事だった。先程の苦しみの解放を、この世との離別と錯覚した。だが、レイの手が離れ、床に倒れ込んだ衝撃で一気に醒めた。
倒れ込んでから激しく咳込みをするボブ。瀕死の肺がたった今蘇生した。霧がかかったみたいに朦朧としていた頭の中が次第に鮮明さを取り戻す。
見ると、ショットガンに手が届くようになっていた。
乱暴に首締めから解放され、その後二転三転床を転がったからであろう。
ラッキーだ。ジョン、Thank you!!
ボブはショットガンを拾い上げた。そして2発の銃撃で完全によろめいていたレイの腹目掛けてそれを撃った。ボブが大量の返り血を浴びると同時に、レイの体は大きく吹っ飛んだ。