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第六章「瞑想」 14
あんなの当たったら即死じゃねぇか…
ボブは胴震いした。
もうこいつはレイであってレイじゃない。
マジで殺られる…!
レイは尻餅をついたボブの方を向き直した。ほくそ笑み、零れた唾液がボブの胸に垂れる。
「おい、レイ。」伝わる筈がないと分かっていながらもボブの口はそう動いた。「分かるだろ?レイ。俺だよ、俺。ボブだよ。忘れちまった…の…か…ッ?!」話の途中で首もとを掴まれた。
持ち上がっていく俺の体。それに息苦しさが比例して増していく。
かつての戦友に喰われる…。絶望的な気分だ。
「糞っタレめ…!!」今、肺の最後の残り滓が出た。
肺が強烈に酸素をせがむ。それに伴って激痛が走る。レイの握力が完全に気道を塞いでいた。
だんだん意識が遠のいていく…。昇天まではもう秒読みだ。
そしてその直後。
2発の銃声が鳴ったと思ったと同時にボブは苦しみから乱暴に解放された。