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第六章「瞑想」 13
ボブはショットガンを構えようとしたが、手元にあるはずが、いつの間にか消えていた。
ショットガンは遙か3メートル先に転がっていた。
普通ならそこに手が届くのは造作無い事だが、右足が折れているボブにとってはその僅かな距離が何十キロの彼方の様に思えた。立っているのがやっとだ。もう右足は使えない。
ショットガンを諦め、予備携行のS&Wを探す。確かジャンパーの内側に…!
だが、探してからすぐ気が付いた。
ジョンに貸したままだ…
まずい。
さあどうする?
何も反撃する術がない。
ならせめて避けろ!!
ボブはその場にしゃがむつもりが、尻餅を付いてしまった。しかし、その直後に来たレイの拳はしっかりと、おぞましい音を立てて空を切った。
空気を斬り裂く音がボブの鼓膜にまで届いた。