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第六章「瞑想」 10
血の跡を追い、闇の中を進む。一歩進むごとに埃が舞う、心臓が跳ねる。
落ち着け。落ち着け。出て来たら撃つだけだ。引き金を引くだけだ。止めを刺すだけだ。簡単なことだ。
だが、一体何なんだ?この胸騒ぎは…?
それから何歩か進むと突然
血痕が途切れた。
一瞬、何が起こったかさっぱり分からなかった。
指標の足跡が魔法の様に消えて無くなってしまっていたのだ。
頭が機械のように熱処理を要求するほどに混乱した。
脳の炎上。膨大な数繰り返される無意味な演算が脳細胞を灼き切っていく。
背中に激痛が走り、勢い良く吹っ飛ばされるまで脳味噌がフリーズしていた。
逆に言うと、事の全てを悟れたのはそれからだった。
「止め足」だ。