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第六章「瞑想」 8
こいつ…飛び上がりやがったな…!返り血一滴浴びていない自分の体を見てジョンは思った。
何故これ程まで避けられるんだ?!
仕切直しだ。レイはまたゆらゆらと体を揺らし始めた。
「…ジョン!」
「何だ?」突如後ろからたくましい声が聞こえた。ジョンは振り返るとそこにはボブが立っていた。
「ジャニスのサポートをしてくれ!あんたのハンドガンやマグナムより俺のショットガンの散弾の方が当たり易いと思う!選手交代だ!」ボブはそう叫んで、強引にジョンを引っ張り、退かせると、早速ショットガンが吠えた。広域に広がっていく細かな弾丸が10メートル先のレイの体の数カ所に埋め込まれた。
吹っ飛ぶレイの体はその先の宝石店のガラスを派手にぶち破り、その店の床を転がった。
コッキングするボブ。そして、サングラスをかけた。「俺に任せてくれ。絶対戻って来る。」
「…わかった。死ぬなよな。」
「おうよ!」ボブは最後に笑顔でそう答えると、レイのいる、廃墟と化した宝石店へと駆け込んでいった。