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第六章「瞑想」 6
「このっ!!」ならせめて、とジョンは拳を握りしめ、力一杯レイの頬を殴り付けた。
怯むレイ。だがそのパンチをもらいながらも、自身も拳を返していた。
レイのパンチがジョンの顔面に直撃した。
途端口の中に鉄の味が充満し、口から血を撒き散らした。
ジョンは口から残った血を吐き出すと、再度殴った。
が、かわされた。逆に貰ってしまった。
脳が揺れた。視界がぼやけた。頭に針を刺したような痛みが襲う。
レイはついにジョンの目玉を喰いつきにかかった。ジョンの視界に鈍く艶がかった牙が迫る。
「あぁぁああ!!!」ジョンはレイの頭を懸命に押さえた。
想像以上に凄い力だ。ジョンが徐々に押し負けていく。それに比例して頭が朦朧としていく。立て続けに脳を揺さぶらされ過ぎた。それに従って、どんどん腕の押す力も弱くなっていく。
レイの腐臭がかった荒い吐息がジョンの顔面に容赦無く降り懸かる。それ程までにレイの口は近づいていた。
知も無く理性も無いそんな醜い狂った顔をレイは晒けていた。