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第六章「瞑想」 2
そう。ノーアイズはこの2日間で、走れるように進化してしまったのだ。
ノーアイズは真に夜行性であり、日中は全く動けない。しかし、その間に進化をするのだ。従って、夜行性とはうたってはいるが、四六時中油断無く動いている事になる。
実はノーアイズは発生した当時はそれ程凶悪なアンデッドではなかった。だが進化によって、生命力、聴覚、凶暴性、繁殖力などが増強し、種が増えたり、餌が多様化したり、海を渡ったりする事が可能になり、より凶悪な化物へと変貌していったのだ。
ただ、唯一の救いがあった。鈍いことだ。ブルという新種は例外として、通常種のノーアイズは足が遅かった。彼らはこれまで、動くときは身を震わせて蠢くようにゆっくりと歩を進めていたが、今はどうだ。
こちらを見つけると一直線に走り込んでくるではないか。
スピードは個体差があるが大体、人が走る早さと同じだ。
見つかったらそう簡単には振り切れなくなった。