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第一章「月光」 1
レジスタンスはパンデミックが起こって間もなくに結成されたものではなく、メンバー全員、凄絶な過去を経て今に至っている。
現在のレジスタンスのメンバーにはレイという少年がいる。
年は僅かに15。しかし彼が一番ノーアイズの恐ろしさを知っている。
ノーアイズとなった両親に襲われ、自分の手でその両親を肉塊に変えた。
そして…
「うぅ…う…」
「どうした!?レイ…」呻いたレイにジョンは立ち止まった。
同時にレイの額に銃口を向けた。
するとレイは一呼吸おいて「いえ…まだ大丈夫です…。」囁くようなか細い声で応えた。
「我慢できなくなったら言え…」ジョンは再び前を向いて歩きだした。
レイの顔には左目がない。
常人では有り得ないほど肌が蒼白としている。
吐く吐息には腐敗臭…。
そう、彼は感染者だ。