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第五章「地獄」 12
再び銃声が響いた。
だが、今度の銃声はグロックのものだった。
マックスが放った銃弾はミシェルが構えたベレッタを直撃した。ミシェルの小指もろとも、ベレッタは宙に弾け飛んだ。
「俺は…ミシェル…あんたとは殺り合いたくない…!」マックスはミシェルの額に照準を合わせた。しかし視界が潤み、上手くいかない。目元を拭う。また溢れ出してきた。「…あんたは…正直良くやったんだ…。それも尊敬したい程にね…。だけどーーー」
死んだ仲間の事を想ってない。
「生きる事を諦めないのはいいけど、死んだ事を諦めないでどうするんだ…」マックスは涙ながらに続けた。「立ち止まってちゃ死んだ仲間が報われないじゃないか…!それが何…?自殺します?心中します?馬鹿じゃないか!そんな事しちゃ犬死になっちゃうじゃないか!!もう一度考えてみてよ…俺達の目的を…!」