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第五章「地獄」 11
「え…ミシェル…?」後ずさるマックス。
「死ね。俺と一緒に死ね。」ベレッタの引き金が徐々に絞られていく。
「…!」このままでは殺られる…!マックスは懐のグロックにゆっくりと手をかけた。
ミシェルを正気に戻せーー
だが次の瞬間、乾いた発砲音が響いた。
ベレッタの銃声だ。
「あああああぁあ!!」ベレッタの銃弾はマックスのグロックに触れた方の掌を一貫した。鮮血が、出来た銃創から火花のように散った。鋭痛とも鈍痛ともつかぬ凄まじい痛みがマックスを襲った。
「何てことするんや!!」怒りで血相を変えたマイケルがミシェルにタックルをかました。勢い良く吹っ飛んだミシェルは体をクローゼットに叩きつけ、そのままずるずると後退した。
「…何故邪魔をする?!」ミシェルはあまりの絶叫で声が一瞬裏返った。「死ねええぇ、死ねぇええ!お前も死ねぇぇええ!!」
今度はベレッタの銃口がマイケルの方に向いた。