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第五章「地獄」 9
ロバートの悲鳴だ。
「あああああああああぁあああ!!!」ミシェルが号泣しながら包丁を床に叩きつけた。
まさかーー!
マックスはロバートの顔を覗いた。
ロバートの顔からは生気が失われており、瞼は深々と閉じられていた。
「あ…」ロバートの首筋に震える指で触れる。
脈がない。彼の冷たくなった体がマックスに全てを悟らせた。
死んだーー
ミシェルが出目金の様に大きく眼をひん向いて、普段の様子から想像つかないような悲鳴を上げた。
「あああぁああああ!!!また俺が殺したんだ!!また俺が殺したんだぁぁぁぁ!!!」そう連呼して頭を押さえつけ駄々をこねる子供のように床の上をのたうち回る。