私の中のBL(CV:古川)が茹でた目玉焼きをどうぞ!
秋の夜長である。
私は彰子と定子のBL作品(産卵あり18禁オメガバースもの)
を書き散らかしていた。
「ああ…
書いても書いても尽きせぬ欲望よ…」
内容といえば、NTR・孕ませ・メリバ全部入りの
性癖フルコース全部盛りといった感じでへいらっしゃい!
寄ってらっしゃい見てらっしゃい地獄の欲張りセット!
お待ち!よく煮えてるよごっちゃんですな狂気の沙汰。
「捗る…捗るぅぅ…」
今日はなぜか筆がのりにのっている。
午前中に摂関政治というキーワードで煩悩を開かせ散らしてしまったせいだろうか。
私の筆が紙の上を走り、火花を散らす。
コーナーに差しかかった原稿用紙の右端を、筆先が紙一重で攻める。
地面に吸い付くようなコーナリング。
一画でもミスすれば即スピン、即廃車。
だが、今の私にブレーキという概念はない。
『お前、いま自分がどんな顔してるかわかってんの?』
『腰…細っ…』
『こいつの首筋…女みてぇだな…』
女みてぇだなも何も、彰子も定子も女な上に
彰子は私の雇い主なので、ばれたら即出仕停止どころか
道長にアカウントを永久凍結されてもおかしくない。
ちなみに彰子と障子は似ているが、片方は建具、
もう片方は一条天皇の中宮であるので注意されたい。
穴を開けないよう注意する必要がある点に関しては、
両者に共通する事項であるということを、ここに改めて記しておく。
「んふっ♡ww んふふふふっ♡wwwww
でけた!! でけでけでけたァ~~~~ッ!!!
また時間を溶かしてしまいうぉァ~~~ッ♡
誰か私を止めろ(止めるな)!! 今いいところなんォ~~~ッ!!」
筆が乗っている時 特有のハイテンションをもてあまして、
私は十二単の上を転がった。
「おいっす、ピンク式部さん……うわぁ部屋汚ぇなオイ」
「紫式部ですぅ」
唐突に御簾をまくりあげて顔を出したのは清少納言である。
出た。教養をひけらかしながら御簾まくりがちな女、清少納言。
ちなみに私とこいつは仲が悪いと思われているようだが実はそうでもない。
単なる解釈違い、いわば思想の不一致と呼ばれるものが
後世において文学論争に発展したまでのことである。救いようがないね。
「もうちょっと掃除しましょうよ。
どうしようもないですよ部屋まで腐らせちゃったら」
「うるさいうるうるうる星やつら♡」
「何言ってんすかもぉ…。はいこれ」
清少納言は私に何か小綺麗な包みを差し出した。
「なんですか?」
「その…先日あなたの新刊に大変お世話になったから…その…。
…これは……ほんのお礼なんだから!……っプッファ!!」
「…!…
べッ、別にあんたのために書いたんじゃないんだからね!wwwンぐふぅっw」
ノリが古くさいなと我ながら思うが
二人とも平安生まれなので大目に見てほしい。
包みを開くと、中身は質の良さそうな筆だった。
「ちょ、筆。立派な筆じゃんw」
「太っとい太っといのお持ちしました!!
ってやめてくださいよ…w」
「イヤ待ってちょっとその、持ってみて?(真顔)」
「……え…♡…こう………ですか?♡」
「何!!その持ち方!!!やめ…w
ちょシコシコすな!!」
重ねて言うが、ノリが古くさいなと我ながら思う。
「あ~ぁ、お腹痛い…。
その筆、いいやつなのでまあ使ってみてください」
「濃ゆ~い墨汁♡…つけてもいい??」
「はいはいどうぞどうぞw
じゃ定子うるさいし帰るわ。新刊また読ませてください」
「はーい。そっちもね」
「うぃー」
散々騒ぐだけ騒いで帰って行く清少納言を見送ると、
私は早速(怪)文書の続きを執筆し始めた。
「うっわぁあああ…あああ…ッ!」
やはりいい筆は違う。
あの女は正直いけすかないが、
悔しいことにこれが一級品であることは間違いない。
反り返ったフォルムは手にぴったりとフィットし
吸い付くようになじむ。(筆の話です)
滑るように紙の上を走る、その穂先のしなりが(筆の話です)
跳ねるように震え、○汁を飛ばす。(墨汁です)
『全く、とんだじゃじゃ馬だな』
私の中のBLがささやきかける。(CV:古川)
「はらむってどう書くんだっけ」
『孕』(CV:古川)
「サンキュー」
古川と筆の痴態に支えられ煽られて、
私の執筆も めきめきと進む。
『見てくれ…俺の法隆寺……』
『すごくすごく建立して……熱いくらいだ』
今や部屋の半分を埋め尽くす
私の煩悩の煮こごりたちが
煮こごって煮こごってPTAをカルパッチョにする。
仏舎利や大嘗祭等の日本史難読キーワードで
目をバキバキにしながら一晩語り合える人募集中!
笑顔の絶えない職場です!でです!で・で・で・です!(♡)
あら、一体私は何を考え――――――
「はッ!」
気がつくと無数に散らばった紙の上に
突っ伏して意識を失っていた。
チュンチュンと鳴く鳥の声が響くさわやかな朝、いや昼か?
筆は、筆は――どこへ。
あ、あったあった、ちゃんと股の間に収納されている、一安心。
やはり上等の筆はきちんと収納するに限る。
【どす!どす!どすどすこい!】
向こうから近づいてくるゴツい誰かの足音と声は、
まさしく障子…じゃなかった、藤原彰子その人。
「ねえ、紫式部~いませんの~?」
慌てて筆と、自らまき散らした地雷原を片付けながら
私は着衣を整える。
「ちょ、ちょちょちょちょっちょっ…ちょっとお待ちください」
「なあに~もうン」
「漢文の授業の準備に手間取っております」
「ええ~待たせないでよぉン♡」
さあ、今日も男女だけが手紙を交わし、
宮中の女どもが陰湿な妃バトルを繰り広げる
虚無に満ちた一日の始まり始まり。
ここでは「かわいい」という言葉は女にのみ向けられ
腰はそう簡単に砕けやしないし
女顔の男なんかどこにも存在しない。
退屈すぎてもう死んじゃいそう。
だけど私は退屈の波を乗り越えるのですよ。
この煩悩で。




