パタンッパタン
夜の病院は少し不気味ではありませんか?
想像したりしてしまう人もいるのではないでしょうか。
お化けが出たりして…((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル
夜、僕はトイレに行くために病室を出た。
カツンッ…カツンッ…カツンッ
昼間とは違う、暗い病院の廊下を松葉杖で歩く。
(これも…すっかり使い方に慣れたな。)
僕の怪我の原因は、チームメイトだ。
新しいスパイクを買って履いていた僕が気に入らなかったらしい。
「うぅわ〜大丈夫?」
心配もしていないくせに、ぶつかってきたアイツは笑って俺に言った。
しかも「自分で転んだ」という事にされてしまい、説明する暇もなく病院生活…。
挙句の果てには僕が出るはずの枠は転ばせてきたチームメイトに盗られた。
満足そうに笑うアイツの顔がよぎる。
(大会を頑張れるようにって、お父さんが買ってくれたのに…!)
思い出すだけで涙が出た。
手を洗いを終え、また廊下へと戻る。
(…なにこれ?)
さっきまで暗かった廊下に煌々と明かりが灯っている。
それに、僕の病室からトイレまでは少し遠い程度で廊下を見れば自分の病室の番号が分かる。
だけど、どれだけ歩いても僕がいる病室につかないのだ。
病室番号もどれも001で明らかにおかしい。
(…なんで?)
あまりにも長すぎて、手すりに寄りかかり休憩する。
「ここはなんなんだ…?」
不気味だなと思っていたその時、目の前に何かが現れた。
パタンッパタンッパタンッ…
スリッパのような音。
廊下が明るいおかげで見えた。
そこにいたのは、注射器や体温計などで全身が作られナース服を着た異様に大きい体をした「何か」だった。
顔のような場所には、人間の指が何本か生え大きな目が1つあった。
「ヒッ…!」
逃げようとするも、手が震えて松葉杖が持てない。
ガタンッと片方の松葉杖が倒れる。
ゆっくりと大きな目が僕の姿をとらえた。
「いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!」
そうこうしているうちに、すぐ目の前に化け物は着ている。
(もう駄目だ…!)
ギュッと目をつぶったその時、声がした。
「だ…だい、じょうぶ?」
異様に大きい体をかがめ、目の前にいる化け物が心配そうにこちらを見ていた。
どこから喋っているのか分からないが僕に言っているらしい。
「だ、大丈夫だよ。ありがとう。」
見た目は怖いけれど、声は優しかった。
僕に松葉杖を取って渡すと体を支えて起こしてくれる。
「なんで、ここ、いるの?」
松葉杖を持ち直した僕に化け物は不思議そうに聞いた。
やっぱり少し怖かったけれど僕は言った。
「怪我をしたんだ。ほら、左足」
ギプスを巻かれた左足を見せると
化け物は指をさして呟いた。
「だ、れかに誰かにやられてる」
化け物は目をスッと細くした。
驚いた。どうして分かるのだろう。
僕は化け物へ怪我のことを話した。
何も喋らず静かに話を聞いたあと、化け物は言った。
「…そっかぁ、そっか、そっか…」
化け物は少し考えたような様子を見せた後、軽く僕の袖を引っ張り廊下の奥を見た。
「かえらせて、あげるね。ここ、いるとこじゃない。」
瞬きをした時、廊下は薄暗く僕がいたのは病室の前だった。
「…なんだったんだろう。」
その日の夜は布団に入るなり、すぐに眠ってしまった。
翌日、足の痛みが無いことに気づく。
回診の時にそれを伝えて、もう一度診てもらうと骨折は綺麗に治っていた。
まだまだ入院生活を続く予定だったから医者も看護師も、もちろん 家族も驚いていた。
僕が部活動に顔を出すとチームメイトが「心配したんだぞ〜」と駆け寄ってきてくれた。
アイツはいなかった。
復帰した僕は大会に出られる事が決定した。
大喜びで練習を再開していた、その日の休憩時間に友達が言った。
「そういや、今日アイツ休みじゃん?なんかさ、今度はお前に続いてアイツが骨折したんだって。しかも同じ左足。」
ゾッとした。
僕と同じ病院に運ばれたとも聞いた。
(もしかして…)
頭を振って僕は考えるのをやめた。
(クッソが…なんで俺が!)
松葉杖で、俺は歩いていた。
俺は大会に出るはずだったのに、何故か軽くコケただけで左足に激痛が走り、病院送りになってこのザマ。
(不幸になるのはアイツだけで十分だろうがよ…)
新しいスパイクを買ったからって俺よりプレー下手なくせに…周りのやつにチヤホヤされて、大会にも出られるのが気に食わなかったから、その枠だって奪ってやったのに。
夜にトイレに起きた俺は歯を食いしばりながら廊下を歩いていた。
カツンッ…カツンッ…カツンッ…
慣れない松葉杖が鬱陶しい。
(あ…?)
転ばないように床を見ながら歩いていたから分かる。
暗かった床に、蛍光灯の明かりが反射している。
前を見ると廊下全体に明かりが灯っていた。
「…さっきまで暗かったよな。」
とにかく病室に戻ろうと部屋番号を見る。
「…は?」
どの部屋番号も、001。
困惑する俺の耳に音が聞こえた。
パタンッ…パタンッ…パタンッ
スリッパのような音。
音のした方を見ると、この世のものとは思えない化け物がいた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
松葉杖には慣れていないし逃げようにも逃げられない。
ひっくり返った俺の音が聞こえたのか、目を大きく見開いて化け物はこちらを見ていた。
「いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!いた!」
全身に張り付いている注射器が化け物が歩く度に揺れてカシャカシャと音を立てている。
目の前に立ったそれは、大きな目でニンマリと笑った。
「悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子悪い子」
全身の医療器具がこちらに向けられる。
「しゅじゅつ、治さなきゃですねぇぇぇぇぇぇぇぇ」
化け物が嬉しそうな声を上げた。
パタンッ…
最後まで読んでくださりありがとうございます!
主人公とチームメイトが出会った「何か」は一緒なんですけど、どうやら対応が違ったようですね…(*^^*)
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