第1章 1話 転生
ユウマは目を覚ました。
周りは暗い森。木々がそびえ、地面は湿った土。
頭が痛い。体が重い。
「あれ...俺はさっき誰と会話してたんだ....?」
最後の記憶は、学校帰りの横断歩道。
トラックが近づいてきて――それきり。
「生きてる……?」
体を触ってみる。痛みはない。
服は学校の制服じゃなく、粗末なチュニックとズボン。
腰に短剣がぶら下がってる。
これは夢か? それとも……
「ようこそ、異世界人」
声が響いた。
森の木陰から、少女が現れた。
赤い髪をポニーテールにまとめ、革の鎧を着た16歳くらいの少女。
目は明るいが、どこか疲れた影がある。
「あなたがユウマね。私はリリアよ。この世界の調停者の役を賜っているわ!」
少女――リリアは、ユウマに向かって微笑んだ
「私があなたを転生させたのよ!ちゃんと約束は守ったのだから今度はあなたが約束を守る番よ。ちゃんと私に
協力してよね!」
ユウマは立ち上がり困惑していた。
「転生? 異世界? どういうこと..??」
リリアはため息をつき、説明を始めた。
「前の会話を覚えてないの.??まあいいわ..それよりも今は私の話を聞いてほしいの!」
コホンと咳払いをしてからリリアが
「このアルテミア大陸は、堕ちた神エターナルによって現在崩壊の危機のあるの...
エターナルていうのは元創造神なんだけど民の間での戦争が絶えず世界が破壊されている状況を見続けて嫌気がさして破壊神に堕ちたの。
世界を荒らされるくらいなら、自分で壊してリセット
して再び新たな世界を創ろうと企んでいるわ...」
ユウマは頭を抱えた。
「待って……そんなヤバめの神を止めるために俺
なんかを転生させたの..??」
リリアは頷いた。
「調停者として生まれた私は、神に対抗する手段を探した。
異世界人の魂は強い。転生法で呼び出せば、エターナルを倒せる力を持てると思ったの」
だがユウマは少し気になることがあった。
「あの〜...僕は別に前世では周りと比べて特段に力が強かったり、賢かった訳ではないのですが....
それに魔法なんかも使えないですし...足手纏いになる
だけじゃ....」
するとリリアが、不思議な顔で..
「確かにあなたは目の色が変化しないわね...
この世界では7歳になるまでに各属性の適正となった
魔法の色に変化するのよ。火だったら赤、水だったら青とかね...確かに異世界人は特殊だけど変化はするはず
なのよ...体内に魔素は循環しているから魔法適正が
無いわけではないのに....あとは考えられるのは
「無属性」くらいね...」
「無属性てのは魔法が使えるということですか....
僕もファイヤーボムとか打てるのですか!..」
リリアは苦笑しながら
「いや、あのね無属性っていうのは神族がもてる属性
なのよ。無からしか有を生み出せないように、全ての
属性の根源となるのが無属性なの。そんな物を人が
持てるわけないのよ。」
僕は落胆した...
「僕は何ができるのですか..結局転生しても普通のまま
かよ..」
リリアは急に手を広げ小さな火球を作り出した。
「手に魔素を集中させながらこの火球に近づけて
見てくれない!」
僕は下を向いたまま手をかざした。
「.....うっそでしょ....」
僕は手の平に妙な違和感を感じて恐る恐る見てみると.
「え...これ僕がやったんですか?」
手の上にリリアが作った火球の3倍程度の火球が
できていた。
「ユウマ!君ほんとにすごいよ!人間で無属性の
使い手なんてこの世界に誰もいないよ!ほんとうにびっくりだよ! ああそうね。能力の説明をしないと..
あなたは無属性の魔素を操れる能力を得たわ!
どんな魔法でもコピー可能な万能な力よ!
リリアは興奮を抑えきれない様子だった。
ユウマはまだよくわかっていなかった。
「確かに万能な力ではあると思います。
しかしコピー能力となると他力本願になってしまい
ませんか...?」
するとリリアが
「大丈夫よ!無属性魔法は魔法のイメージをすればそれが現実になるから!しかも本当はね無属性の属性スキルもあるんだよ。
でもあれは神々だから行使できるのであって
人間が使うのは未知数だからちょっと教えたくないな
ごめんね...」
話をしていたら突然森の奥から、獣の咆哮が聞こえた。
「なになに。敵ですか??」
リリアが剣を抜いた。
「まあ、実際に力を試してみればその強さの気づくよ」
「ちょっとまだ僕転生したてなんですけど!」
もうなるままになれとユウマは短剣を握りしめた。
異世界の冒険が、始まった。
咆哮の主は、狼のような魔物だった。
角が生え、目が赤く輝く。
リリアが剣を構え、突進した。
「はあっ!」
剣が魔物の肩を斬り、血が噴き出す。
魔物は咆哮を上げ、ユウマに向かってきた。
「くっそ!なんだこいつ」
ユウマは慌てて火の玉を投げた。
魔物の毛が燃え、動きが止まる。
リリアがトドメを刺した。
「ふう……よくやったわね」
リリアは剣を収め、ユウマを見た。
ユウマは息を切らしながら聞いた。
「確かに便利な魔法だけど肉体的には俺雑魚のまま
なんだよね...シンプルにキツすぎる」
するとリリアが
「そればっかりは鍛錬するのみよ!でもまだまだ
無属性の力を1%もう引き出せていないわよ!
これだけは教えてもいいかな....
無属性魔法は自分の想像したものを具現化できる
のよ。試しになんかの属性の魔法を想像してみな!」
ユウマは試しに水の魔法をイメージした。
掌から水が湧き出る。
「す...すげぇぇ!」
リリアは笑った。
「...あなたが驚いてどうするの!これからしっかり魔法に関して学んでもらうからね!」
すると談笑する背後から、別の足音が聞こえた。
リリアが剣を抜いた。
「まだいるわ」
魔物の群れが現れた。
「またですか...この世界に安全地帯はないのですか!」
ユウマは短剣を構え、リリアと背中合わせに立った。
戦いが始まった。
リリアの剣が魔物を斬り、ユウマの火の魔法が援護する。
だが、魔物は数を増し、リリアが傷を負った。
(やばい!なんか守る方法は.....)
ユウマは魔素を集中し、水の壁を作って防御した。
「リリア、こっち!」
リリアは剣を振るい、魔物を倒していく。
(すげーなリリア...俺もここらで一旦ひと風吹かせてやるか!)
最後の魔物をユウマの風の魔法で吹き飛ばす...だけでは済まず辺りの木々を薙ぎ倒して止まった。
リリアは息を荒げ、笑った。
「あなた!規格外すぎるのよ!しっかり自分の力を
コントロールしてよ!」
「ごめんなさい....ちょっとかっこいいところ見せたかったんだよ...」
リリアは一瞬微笑んだ後、神妙な顔付きに変わり
「これからはこんな魔物以上の敵と対峙する機会が
増えるわ。それに伴ってこちらの戦力増強のために
これから仲間を集めましょう。セイルって学者と、ミアって獣人斥候がいるわ!」
「じゃあそいつらに会いに行ってみるか!」
異世界の旅が、本格的に始まる。




