第2章 4話 ルーティン
朝六時七分。
宿屋の廊下は、まだ薄暗い。
俺はドアを開けて、足音を殺して出た。
昨日、花火の後の「明日から練習」って言葉が、頭に残ってる。
階段を降りて、井戸のところ。
桶に水を汲んで、顔を洗う。
冷たい。
でも、昨日の記憶を思い出す
……リリアの「うん」って声。
ミアの「えー、明日は休み!」
セイルの「データ分析の向上に努めます」。
……なんだよ、これ。
胸が熱い。
顔を拭いて、食堂へ。
もう、誰かがいる。
リリア。
剣を腰に下げて、窓辺で朝日を浴びてる。
髪が金色に輝いてる。
「おはよう、ユウマ」
「ああ」
「今日の練習、朝からだっけ?」
「うん。 みんな呼ぶ」
リリアが、
「じゃあ、私が朝食作る」
「……いいのか?」
「昨日、みんなで食べたでしょ。
今日は私が」
……嬉しいな。
俺は頷いて、階段を上がる。
ミアの部屋の前。
ノック。
「ミア、起きてる?」
中から、
「うるさい……五分だけ……」
「……三十分後に集合」
「……わかったよぉ」
次はセイル。
ドアの前で、
「セイル」
中から、
「入って」
……入ると、
セイルは机に突っ伏して寝てる。
ノートが山積み。
「データ……」
……起こすか迷ったけど、
肩を叩く。
「セイル、練習」
「……ん……魔素値……」
「……起きろ」
「……うるさい……」
ため息。
俺はセイルの襟首を掴んで、
「起きろって」
「わかったわかった……」
……朝のルーティン、終了。
食堂に戻ると、
リリアがスープを温めてた。
「みんな、もうすぐ?」
「ああ」
ミアが、
尻尾を振りながら降りてくる。
「ユウマ、朝から元気ね」
セイルが、
ノートを抱えて、
「今日は風属性の新式テストする」
……みんな揃った。
テーブルに座る。
スープとパン。
リリアが、
「今日は森の奥までいくわ。
魔獣の群れが出てるって」
俺は頷く。
「レベル上げだな」
ミアが、
「じゃあ、帰りにアイス食べよう」
セイルが、
「アイスは魔素回復に最適」
……なんだよ、それ。
でも、
この朝の空気──
悪くない。
朝食後、
宿を出る。
街はまだ静か。
朝市が始まってる。
ミアが、
「ねえ、ユウマ。
昨日、花火の時、隣にいてくれてありがと」
「……別に」
リリアが、
「私も……嬉しかった」
なんか俺ハーレムじゃね....と邪な考えを抱いていたら
森の入り口。
魔獣の気配。
三体。
狼型。
魔素が暴走してる。
「来るわよ」
ミアの矢が飛ぶ。
リリアの剣が閃く。
俺は、
風をコピー。
ヴェントゥス・ガスト!
狼が吹き飛ぶ。
セイルの支援魔法。
「アクア・シールド!」
最後の一匹。
俺は無属性で、
火と風を融合。
イグニス・ヴェントゥス!
炎の竜巻。
狼が消える。
「……よし」
ミアが、
「ユウマ、なんか強くなった?」
「……少しは」
リリアが、
「私も、剣を振るう速度が上がったわ」
セイルが、
「データ上、みんなの魔素値が上昇」
……レベルアップ。
昼。
街に戻って、
アイス屋台。
バニラとチョコ。
ミアが、
「ユウマ、舐めさせて」
「……自分で」
リリアが、
「ユウマ、私のチョコ、ちょっと味見する?」
「……いいよ」
……なんだよ、これ。
セイルが、
「アイスは魔素回復効果あり」
……またそれ。
夜。
宿に戻って、
みんなで風呂。
男湯で、
俺は湯船に浸かって、
今日のことを考える。
……レベル上げ、
って言うけど、
戦いだけじゃない。
みんなと一緒にいる時間、
それが一番、
強くなる。
……リリアの笑顔。
ミアのからかい。
セイルのデータ。
……悪くないな。
女湯から、
ミアの声。
「ユウマー、湯加減はどう?」
....まあたまにだるくも感じるが慣れたものだ...
「……うるせえよ」
リリアの小声。
「ミア、からかうのやめなさい……」
……最近は平和ボケしちまって困ってる
つい最近の戦闘もあの話も嘘だったんじゃないかと
思うぐらいだ。実際俺らが使徒を倒した事で
この辺の魔素は平穏に戻りつつある。
はやく安心した世界に変えて俺の第二の人生での
スローライフを歩みたいんだ。
そもそも俺は16歳だぞ。まだ彼女もできたことも
なかったのに死んじまって..生き返ったら生き返ったで
今度は世界滅亡の危機とかふざけてるぞこんなの..
エターナルマジムカつく...絶対に倒す




