8話 ハルカの生い立ち (3)
最近では、ハルカは魔道具の中の魔術回路に興味を
持っていた。
「また分解しておるのか?」
「あ、師匠。お帰りなさい」
「ハルカ、まさかお主これを自分で?」
「はい。師匠のを真似てみたんです」
そう言って机の上に広がっている残骸を指した。
そこには色々な部品と道具がバラバラになっていた。
そしてその中でも、手のひらサイズのまあるい形状
の物が丁寧に箱の上に置かれていた。
「これは何を考えたんじゃ?」
「これはですね……ここに魔力を流すと……」
危ない魔物の森や、鉱山での落石事故。
色々な危ない箇所を回るうちに安全に身を護る魔道具
が欲しいと思って作った物だった。
本当はちょっとした盾のつもりで作ったのだが。
案外、制作段階で弄り過ぎたというか……。
実際見てみると、大きな円形状のドームの膜を発生さ
せるアイテムとなっていた。
「これは……頑丈にできておるな……」
「そうなんです。危険な場所でも、ゆっくり休める
場所を提供できる魔道具です」
「耐久試験はしたのか?」
「いえ、まだです。そこは冒険者ギルドに依頼して」
「それはわしが依頼しておこう」
「はい。お願いします」
ハルカはこの5年で、ほとんどの知識を網羅したとい
ってもいいだろう。
ずっと、この老人の話相手になっているだけでも凄
い事なのだが、それ以上に異世界の知識も交えての
柔軟な考え方のせいか、予想を数段上回る発想が出
てくるのだった。
老人が一人の青の塔が赤の塔より優れているという
のは、誰もが知る事だった。
それでも、この老人の弟子になりたいと思う者は
全く現れなかった。
「弟子……………誰も来ませんね〜」
「そうじゃろうな〜……」
「師匠嫌われてるんですか?」
「どうじゃろうのう。ハルカのように素直な子じゃ
ったら大歓迎なのじゃがな…」
「子供に期待し過ぎですって。」
「そうじゃな……じゃが……ハルカはまだ幼いのに
もうわしと変わらぬ知識と実績を持っておるのも
事実じゃ。誇って良いぞ?」
「誇りたくないです。それに僕には身分証もないん
ですから」
「そうじゃったのう……今度ギルドに行って一緒に
作ってくるとしようかのう」
そう話していた数日後、街に病が広がったと聞いて
薬を届けに行ったきり、帰ってこなかった。
噂では、錬金塔の主は野党に襲われたと噂が立って
居たのだった。
その日からハルカは姿を変える薬を使って師匠にな
り代わり国の仕事を請け負う事になった。
その一年後、ハルカが16歳になった時だった。
塔にいきなり来た煩い青年によってハルカの存在が
バレる事になったのだ。




