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黒の錬金術師  作者: 秋元智也
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7話 ハルカの生い立ち (2)

実際に錬金鍋に手を入れてみると、ぬるま湯に

手をつけた感覚といってもいいくらいの温度だ

った。


そして、一番気になっていた鉱石が溶ける現象

だったが、手の周りに膜が張っており、溶ける

という感覚はなかった。


「これは……」

「魔力の膜じゃよ。人には生まれつき魔力が流

 れておってな。迷い人には特に多く流れてい

 るそうじゃ。じゃが、魔法が使えないのは魔

 力がないからではなく、外に出せないからじ 

 ゃよ」


紙を持ってくると、図解で説明してくれた。


異世界からの迷い人は、向こうの世界で魔力を使

わず暮らしているせいか魔力を外に放出できない

のだそうだ。


魔力は体の中にあるのに、外に出せないように

できており、なんらかの媒体がない限り使えな

いという理由だという。


「それって、媒体があれば僕も魔法を使えるとい

 う事ですか?」

「そうじゃのう……そこで、この鍋じゃ。これは

 魔力を通す素材での。ここを触ってみるといい」


鍋の左右にある出っ張りに触れるとほんのり温か

かった。


「温かい……」

「これが魔力が通るという感覚じゃ」


ハルカは、その日から師匠について錬金鍋の使い

方を学ぶと、色々なポーション作成を手伝う事に

した。


それは、カラフルな薬草採取から始まり、鉱山へ

赴き、鉱石の採掘まで一緒について行った。


老人とは思えない体力なせいか、若いハルカの方

がついていくのにやっとだった。


「まだお前さんは若いからのう。そんな事でへば

 っておっちゃあかんのう〜ほっほっほ」

「全然疲れてないしっ!」


いつも強がりをいうが、途中で動けなくなる事も

多々あった。


その時は、師匠の背におぶさって山を下山する事

もあったのだった。


知識は、薬草から鉱石だけでなく国の武力分布に

渡るまで教えてもらったのだった。


「ここは3国に囲まれたオスタリア公国って所な

 んですね……。ランドブルグ帝国ってなんでこ

 んなに広い国なんですか?」

「それはのう、右にあった大陸は全部帝国に滅ぼ

 されてしまったんじゃ」

「それじゃ……ここにもいつかは?」

「いや、それは難しいんじゃな。真ん中に海を挟

 んでおるじゃろう?そこは死の海域と呼ばれる

 場所で、船で航海が出来ない場所なんじゃよ」


死の海域。

それは、船で渡ろうとするとどこからか海の魔物

が現れて船ごと壊してしまうのだという。


空でも飛べない限りは、そこを渡ってまでこちら

の大陸に攻めて来る事は早々ないのだという。


「でも、ここって陸で繋がっていますよね?」

「よく気づいたなぁ〜、じゃが……そこには険し

 い山があっての、鎧を着たままペリドット王国

 を攻める事も、通行する事も無理なんじゃよ」


ペリドット王国は小さな国で、どこよりも面積が

狭い国だった。

だが。

地の利を活かした寒暖差の激しい気候と高い山に

囲まれた地形のせいか護りに適していたのだった。


自国の兵士の数は少なくても、攻めにくい地形と

いうのは自然の要塞としては好都合なのだという。


「自然が味方しているんですね……」

「そうとも言えるな、じゃがそれだけじゃないぞ?」


このペリドット王国は錬金術師が一番多くいるの

だという。

その理由が、地形にあるのだという。


珍しく植物や、鉱石が多く採掘される為、錬金術

師達がこぞってやって来るのだという。


そのせいか街は発展し、どこよりも過ごしやすい

環境なのだとか。


「それはすごいですね〜、僕も行ってみたいです」

「そうじゃな〜、わしが引退したら一緒にいくか

 の?」

「行きたいです」


この老人はまだまだ現役の錬金塔の主なのだ。


「その為にも、早くちゃんと弟子を取ってくだ

 さいよぉ〜」

「そうじゃなぁ〜、気概のある若者がおるといい

 のじゃがな〜。そういえば面白い奴がおっての」


師匠の話ではたまにこの国の第一継承権を持つメ

ノウという青年がたまに突っかかって来るのだと

いう。


面白いので、いつも揶揄ってやるのだと言っていた。

ハルカはその光景を塔の上から眺めていた。


平民であるハルカが居ていい場所ではない為、堂々

と出ていけないのだ。


ここに来て五年。

ハルカの発案で開発された魔道具は民の間でも好評

だった。

制作は勿論、師匠の名で通している。







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