58話 不相応な討伐依頼 (3)
いつのまにかメノウは布団の中に入るとぐっすり眠
っていた。
ちゃんと考えたのだろうか?
そもそも、どうやって倒すかを考えていたのだろ
うか?
それよりも、肝心な事が抜けている。
メノウが一人でこの依頼をどうやって受けたのか?
という事だ。
そもそも、ギルド職員がランクにあった依頼しか
受け付けてくれないのだ。
最近Eランクに上がったばかりの新人に依頼を受
けさせるだろうか?
いつもの女性職員だったら、絶対に反対しただろ
う事は目に見えている。
では、一体誰が?
どうにも悪意があるとしか思えないのだ。
失敗前提で受理されたとしか思えない。
メノウを恨んでいそうな冒険者となると、ちら
ほら、思い当たり人間がいる。
それは、最初にボア討伐を受けた冒険者達。
そして、この前メノウに仲間の怪我を負った理由
をでっち上げてきた連中。
それに加担したギルド職員が居るという事になる
のだ。
「明日は、先にこっちを片付けてからですかね…」
ハルカは雷針と凍結針に魔道回路を組み込む。
細く小さい物に回路を組み込むのは結構集中力が
いる作業だった。
明け方には、やっと眠る事ができたのだった。
日が昇った頃、やっと起き出したメノウは隣の
ベッドで寝ているハルカを起こしたのだった。
「討伐クエストに行こうぜ」
「ん〜………僕はさっき寝たところなんですが…
それで、思いついたんですか?」
「あぁ、もちろんだ!」
この自信はどこから湧いてくるのだろうか?
一応、作戦を聞こうと眠い目を擦りながら水差し
の水をコップに注いだ。
「そもそも、ごちゃごちゃ考えるからダメだった
んだよ、こういう時は一気に火力で焼く!以上
だ。」
「前に会った冒険者が使った火炎魔法が効いてな
かったと言ってたのは誰でしたっけ?」
「あれは、あいつの魔法が威力がなかったんだ」
「火が効かなかったら?」
「その時は剣で応戦するっ」
清々しいくらいにバカだった。
「硬い鱗に覆われていて剣の物理攻撃が効かな
いと言ったの聞いてました?」
「でも、前にそうやって倒してたんだぞ」
「それは鈍器じゃなかったですか?そして何人
かのパーティーだったでしょう?毒を吐いて
来たらどうするんですか?」
「それは……よければいいだろ?」
「………」
そんな簡単に避けられるなら、誰も苦労はしない。
毒を吐く時にタメがあるのでそこを狙えば、毒を
吐いてこない。
そういう立ち位置を考えて欲しいところだった。
毒の対処もなければ、決定打もない。
これでは死にに行く様なものだったのだ。
「まずは、ギルド長に会って聞きたい事があるの
で、その後にしましょう」
「俺は強いから安心していいぞ」
「………頭も強かったらよかったのですけどね」
メノウに付き従っていた兵士達の気苦労が理解
できてしまった。
今はもう居ないので、きっと安心して暮らして
いる事だろう。
「依頼書を見せて下さい」
「ん?これか?ほら……ちゃんと受けてるだろ?」
「そうですね。では、行きましょうか」
ハルカはギルド職員のサインを見つけると、見慣
れない名前を不審に思ったのだった。




