56話 不相応な討伐依頼
師匠の魔道具を改良して、少し複雑に改良して
みた。
そして、ギルドに売り込むつもりで持っていっ
たのだ。
そこまでは何事もなく順調だった。
ちょっと意外だったのは、ギルド長がハルカと
メノウの身元を知った上で何も言わなかった事
だった。
ギルドは国の要請に不介入だと言っていたが、ま
さにその通りだった。
ギルドカードに犯罪歴がのらない限りは見捨てら
れる事もないし、逆に擁護する事もあるらしい。
これには驚きを覚えた。
そして、ギルドカードの仕組みがどうにも気にな
るところでもあった。
作る時に魔法で一滴の血を入れるだけで、犯罪歴
がカードに記入されると言うのだ。
そして、メノウのカードには犯罪歴はない。
それだけで、冤罪だとわかる。
だが、アスタリア公国ではそんな事は関係ないの
だろう。
そこで、作った魔道具が本人の嘘を見つけるもの
ではなく、本人の心の声を映すものだった。
本人が魔道具に触れた状態で、もう一方の魔道具
に触れている人間の質問を聞くと、思っている事
が文字化されるのだ。
魔力の消費が多いが、魔力の全くない人間でなけ
れば、誤魔化す事はできない代物だった。
この世界に生きる人間は、少なからず魔力がある
らしい事は分かっている。
そこで、魔力がある者なら、誰にでも通じる魔道具
というわけだった。
まさか、その魔道具を試している過程で横領の現場
に立ち会ってしまうとは思いもしなかった。
ギルド長は薄々は分かっていたのかもしれない。
それを実際に試したというのだろう。
ハルカにとっては、いきなりの事で動揺してしま
っていた。
「あぁ、こんな事なら、依頼を受けてから2階に
行けばよかったかも…」
今更だが、仕方がない。
すると、ちょうど昼を食べ終わったメノウが帰っ
て来たのだった。
「用事は終わったのか?」
「うん…今日のところはね。明日もう一度行く予定
だけど、依頼を受けて来忘れちゃったからね」
「なら。一緒に行くか?」
「なんの依頼ですか?」
メノウの取って来た依頼を眺めると、一瞬眉顰めた。
それは、この前ハルカが戻した依頼だった。
メノウはやる気満々だったのだが、あまりに無謀だ
と突っぱねたやつだった。
まさか、これを受けてくるとは思わなかった。
「ポイズンリザードの討伐って…」
「一体でも、素材価値が高いらしいぞ?」
「はぁ〜、素材価値って……、どこの部位がお金に
なるか分かってます?」
「そりゃー、鱗だろ?皮膚を剥いで来いって事だろ」
メノウは何も考えていないらしい。
「皮膚を綺麗なまま討伐する方法はどうするつもり
ですか?剣で何度も切りつけたり、炎で燃やした
りでもしたら、買取り金額が一気に下がりますよ?」
「なっ………だったらどうやって倒すんだよ?」
「それを聞いてるんですけど?」
ハルカはため息しか出てこなかった。




