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黒の錬金術師  作者: 秋元智也
55/57

55話 裏切り

こんな突拍子もないような物を初めて見た気がし

た。


価値あるものは、ほとんどがお貴族様が競り落と

す事が多く、ごく稀に流れて来た人が魔道具を買

い取って欲しいと持ち込む事があるくらいだった。


「これは……まさか………」

「意思を読み取って可視化するものです」

「それが事実なら、どれだけの価値があるか…」

「まずは試して見て下さい」

「あぁ、そうだな。」


そう言って呼んだのは、よく見かける受け付け嬢

だった。


彼女に聞いたのはギルドの管理状況だった。

最初は、なぜかと疑問だったが、次に来た受け

付け事務の人の言動で、理解してしまった。


「昨日の冒険者の人数と収支報告をたのむ」

「はい、昨日ですと……受け付けは三名で行い、受

 けつけた依頼は46件。依頼達成は28件ですね。

 支払った金貨35枚と銀貨58枚、銅貨25枚です」

「分かった。事務のやつを一人呼んでこい。あー、

 そうだな古株のナリスにしよう」

「はい、こちらにくるように言っておきます」


受け付け嬢の反応はいたって普通だった。


「言っている事と、一緒だったな。」

「それは、本人が嘘偽りないと言う事ですね。魔力

 の残量はそこに出るので、後で補充しておけば、

 ずっと使えますよ?」

「あぁ、効率は悪いようだな……」


苦笑いのギルド長にハルカはニッコリと微笑み返し

たのだった。


暫くして、部屋に入って来たのは歳をとった男性だ

った。


「失礼します。」

「おぉ、ナリスか。そこに座ってくれ。これに触れ

 ながら昨日の冒険者の依頼状況と収支報告を言っ 

 て貰えるか?事務なら覚えているだろう?」

「はい……確か、昨日ですと…… 依頼は46件でした

 かな……、依頼達成は28件だったはずですな…え 

 ーっと、換金分はちょっと待ってくださいね……

 支払った金貨33枚と銀貨48枚、銅貨15枚だった 

 はずですね」


持っていた紙を見ながら話し出した。

多分、紙に書かれたままを言ったのだろう。

だが、さっきの受け付け嬢とは数があまりに違って

いた。


「そうか……ナリス、数が違ってないか?」

「そのような事はございません。書類でも間違いな

 く書かれていますし…」

「そうか……なら、昨日の収支にどこかで消えてい

 る金貨があるという事だな…」

「………」


黙ったナリスは、目線が動く。


ギルド長が次に口を開いた瞬間、ナリスと呼ばれる

男は、素早くドアの方へと駆け出していた。


「動くなっ!逃げるなら……」


いきなりドアが吹っ飛ぶと、壁にかかっていた剣が


ドアをぶち破り外の壁に刺さっている。

ナリスの足を貫き、片足にはしっかり突き刺さりもう

片方は半分以上吹き飛んだのか血が吹き出していたの

だった。


「逃げるなって言ったよな?俺から逃げようとするな

 んてな……いい度胸だ。今から止血して憲兵に突き

 出される覚悟はできてるだろうな」


もう、意識のない事務の男は出血多量で瀕死の状態で

回復魔法をかけて貰い、引きずられるように運ばれて

行ったのだった。


あまりに一瞬の事で、ハルカには何もできなかった。


「ギルド長さんは、凄くお強いのですね」

「それはそうだろ?冒険者同士の喧嘩が起きても止め

 られねーようじゃ、困るだろう?」

「それも……そうですね!すごいです」


ハルカにはないパワーに瞬発力。

一体、ランクはなんなんだろうと考えてしまう。


「さぁ、さっきの魔道具をいくらで売ってくれるんだ?」

「えーっと、その話は後日でもいいですか?」

「あぁ、それは構わないが……他で売るなんて言わねー

 よな?」

「勿論ですよ。ちょっと驚いちゃって……明日、また来

 ます。それに、僕たちの事をそっちも知っている様な

 ので、無茶はしませんよ」


お互い、知っている事を考えると、無碍にはできない。

そう約束すると、一旦頭を冷やす為に宿へと帰ったの

だった。







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