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黒の錬金術師  作者: 秋元智也
53/58

53話 新作の魔道具

いい体験といえば、今やっている事もそうだった。

師匠の若かりし頃の傑作を間近で見ることができた

のだ。


魔道具自体はそう難しい物でもなかった。


水晶に触れて真実を言えば何も起こらず、嘘を言え

ば光り出す。

そんな単純な物だった。


構造はいたって簡単だ。

最初に触れた時の脈拍を記録して、その後話した言

葉に動揺が現れれば脈拍数が上がるので嘘と見抜く

という単純な物なのだ。


逆に動揺しない人であれば、嘘でも真実になるのだ。


逆に犯罪を犯して、それをすっかり忘れていれば、そ

れを見抜く事はできない。


そこで、ギルドカードを作った時に数滴血を摂取する。

そこで犯罪歴があるかを判断できる。


そっちの方がハルカには興味があった。


犯罪歴をギルドカード一枚にどうして理解できるの

だろうか?


『神の作った技術だからそこには触れてはいかん。

 ハルカ、これからも触れていい場所と触れてはな

 らんことわりが存在するんじゃ。そこを見き分け

 ねばならんぞ?』


師匠の口癖のような物だった。


「まぁ、この世界ではせっかく魔法があるんですか

 らね。利用しないのは勿体無いですね……」


夜が更けてからも部屋の明かりが消える事はなかっ

たのだった。


明け方になって、やっと何かを完成させたのだった。

そこには魔力を多く必要としたようだが、それは

元々魔力はあるので魔法が使えないハルカだからこ

そ出来る事でもあった。


魔法のない世界から来たハルカには身体の奥底には

魔力が眠っているという。

だが、外に出せないので師匠と考えたのが魔術回路

を通して外に出す方法だった。


集中するとわずかながら外に漏れ出すことがある。

それを回路を描くという作業に置き換えて描き上げ

るのだ。


魔力回路の構造は基本を元にアレンジを加えていく。

そのアレンジとは頭の中で想像すると勝手に形にな

って行くのだった。


これはハルカ自身が持っているスキルのようなもの

だと師匠は解釈していた。


要は、想像すると思いのままに正解の回路構造が頭

に浮かぶということだった。


ある意味チートかもしれない。

だが、勝手にこの世界に落とされたのだからそれく

らいで満足はできない。


そこで、触れた人の記憶を見るスキルがあると本に

書いてあったのを思い出す。


それをアレンジして作ったのが、新しくハルカが作

った魔道具だった。



朝早くから、ハルカが向かった先は冒険者ギルドだ

った。

会いに来た目的は昨日見せてもらった魔道具の改良

版を試すためだった。


ギルド長が2階の部屋にいるの聞くとすぐに会いに

行った。

少し厳つい顔と体格のせいで子供には怖がられる事

が多かったせいで、あまり表に出る事はなかったの

だ。


「ギルド長いますか?」

「あら、依頼は受けないの?」

「今日はギルド長に会いに来たんです」

「そう。2階の自室で書類作業をしているわ」

「ありがとうございます。行ってみます」


わざわざギルド長を尋ねに来るなんて事は滅多に

ないだけに、職員達は目を丸くして驚くばかりだ。




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