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黒の錬金術師  作者: 秋元智也
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51話 討伐依頼 (10)

今、ハルカはニコニコしながら魔道具を眺めている。

それはかつて若かりし日の師匠の傑作だったからだ。


「なるほど……そういう構造でしたか……」


呆れた顔でメノウは眺めていたが、ギルド長は暖か

い目で見つめている。


「よかったのかよ」

「まぁ。見せる分には構わん。彼はあの有名な錬金

 術師の弟子なんだろう?そっちのが興味があるが

 な。あの偏屈爺さんのお眼鏡にかなうとはな」


それほどまでに、厳しい爺さんだったのだ。

自分に厳しく、弟子にも同じく厳しい人だった。


充分に知識があり、実力もある者でも彼に付いてい

くほどの知識や実績がないとすぐに追い出すような

人だった。

ましてや、子供を育てるような親切心など持ち合わ

せるはずがないと、知っている人なら言うだろう人

なのだ。

それが、どうだろう。

拾った子供を育てて、あまつさえ弟子にしたとは

到底思えるはずがないのだ。


「それで、構造は理解出来たのか?」


ギルド長は子供に話すように声を和らげる。

ハルカは興奮気味に紙にペンを走らせた。


「もう、参考になりました。発想自体が面白いで

 すね。これはもっと改善できそうです……いや、

 そうですね、せっかくならここを変えれば…あ 

 でも、こっちも甘いですね。ならいっそ……」


ぶつぶつと言いながら考え込んだ。

そして、ハッとしたように何かを思いつくと…


「ありがとうございました。すっごく参考になり

 ました」


と丁寧に挨拶すると戻って行った。


「変わった子だな……」

「だよな〜、でも、あれですごいんだよな〜」


メノウもハルカを見送ると、採取へと出かけたの

だった。

最初の時に比べて鮮度も保ったまま持って来れる

ようになったせいかギルドでの買取り金額も一般

的な額を稼げるようになっていた。


これまでのあまりに低すぎたので、それだけで結

構嬉しかった。


部屋では、真剣な顔で机の向かっているハルカが

いた。

夢中になると何も食べずに熱中するところはあの

師匠ありと思う。


「おい、飯くらい食えよ?」


メノウが言った言葉はきっとハルカには届いてい

ないだろう。

何やら紙に書かれた複雑な図形や文字はメノウに

は全く読めなかった。


どこか別の世界の言葉のようでもあったからだ。

そして、やっとハルカが顔を上げると、嬉しそう

に背伸びをすると出来上がった小さな魔道回路を

動かしてみた。


「うん、うん、いい感じ」

「おい、聞いてるのか?」

「ん?何かいいました?」

「ご飯っ!お前朝から食べてねーだろ?」

「そう言われてみれば……もう昼ですか?あれ、

 外が暗いような…」

「もう、夜だよ!全く、少しは時間を見ろよ」


メノウがここまで言う意味を理解すると、やっと

自分がお腹が空いている事を実感したのだった。






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