50話 討伐依頼 (9)
冒険者の中には人に罪をなすりつける輩もいる。
夕刻の事。
いきなりギルドへ駆け込んで来たのは、朝にポイ
ズンリザード討伐の依頼を受けたパーティーだ。
「ポイズンリザードの討伐完了しました。です
が……パーティーメンバーにちょっと………」
そう言い出したのは、リーダー格の男だった。
一人負傷したというのだ。
瀕死で治療院へ運んだが、どうなるか分からない
と言われたという。
「状況をお聞きしても?」
「ちょっと、あの男よ。あいつがこなければ仲間
が傷つく事もなかったわ」
「おい、それは……確かにそうだが。それはこっ
ちも……」
「何よ!いきなり来て勝手に乱入して来たじゃな
い!そのせいで……あいつに被害の弁償金を要求
すべきよ。いいえ、冒険者としてペナルティー
を課すべきだわ」
憤慨しながら言うのは、回復特化の神官服の女性だ
った。
あまりにも大きな声で言うので、周りの冒険者から
もチラチラと視線が飛んで来ていた。
「えーっと、その人の特徴と、やった事の詳しい詳
細を教えてもらうので奥の部屋にどうぞ」
受け付け嬢はすぐに奥の部屋へと案内した。
音が漏れないようにと、部屋の中にはある消音効果
の魔道具を起動させたのだった。
話によると、仲間は途中から乱入して来た冒険者が
囮にしたせいで毒を喰らって動けないところに追い
打ちをかけるように大怪我させられたという。
その人は、最近見かけるようになった人で、いつも
は薬草採取をしているのを見かけたという。
容姿を聞くと、あきらかに態度のデカさといい、メ
ノウという冒険者だと断定できた。
すぐにギルド長に報告すると、まずは本人が来たら
2階の部屋でギルド長自ら尋問するという。
そして、真実の水晶を使って、質問する事で事実を
知る事となる。
実は、あのパーティーはポイズンリザードを1匹づつ
倒すつもりだったのが、団体を釣ってしまい逃げな
がら1匹倒していた時に、神官を庇って短剣使いが
倒れたのだという。
治療院の費用はかなり高い。
瀕死で運ばれたなら、いくらを請求されるか分かった
もんじゃないということで、他人のせいにしてお金を
せびり取ろうとしたらしい。
そのせいで彼らは全員降格と、暫く活動禁止となった
という。
ギルドを騙す行為は、悪質とされ降格処分と一緒に
3年間は昇級することはないと言う厳しい処分とな
った。
ランクが低ければ、その分高額の依頼は受けられな
いから、どうしても数をこなすしかないが、Fランク
からとなると、どうしても稼ぎが悪く今泊まっている
宿代すら危うくなるだろうと言っていた。
「そうですか。まぁ、魔道具のおかげで助かったよ
うなものですね。真実の水晶は師匠が若い頃に手
がけたものだと聞いています。実に面白い構造で
すからね〜」
ハルカが興味があるのは、そこに組み込まれている
魔道回路だった。
「確か、師匠の傑作だと言っていたのでぜひ見てみ
たいですね。ギルド長の部屋にあったんですよね」
「あぁ……ま、まさか……」
「はい、今から見せてもらいにいきましょう」
ニッコリと笑うと、行動までが早かった。
ギルド側も疑っていた手前、以外とすんなり見せて
くれたのだった。




