44話 討伐依頼 (3)
メノウが戻って来ると、足元に黒焦げになった死体
を見つけて眉を歪めた。
「えげつねーな……それ」
「検証できて丁度よかったです。それに、メノウさ
んもちゃんと戦えるようなので安心しました」
剣も普通一般程度に使えて、魔法の威力もなかなか
だった。
もう少し言えば、コントロールができれば残りのゴ
ブリンも一気に焼き払えただろうと思う。
そこは、本人の修練不足のよるものだろう。
「魔法の方は威力はあるけど、コントロールが苦手
のようなので、そこさえ改善できればなかなかに
戦えますね」
「コントロール?そんなのいらねーだろ?全部倒せ
ば問題ないだろ?」
「………やっぱりただのバカでしたね。仲間がいた
ら困るでしょ?仲間まで巻き込んだらどうするん
ですか?」
ハルカの指摘にメノウはけろっとした態度で言い放
つ。
「そんなんで巻き込まれるような奴いらねーじゃん」
「………納得しました。メノウさんは誰とも組めま
せんね。それじゃ〜、一緒に組んでくれる人は誰
もいませんよ」
大きなため息を漏らすと、呆れるように周りに施し
た雷針を引き抜いたのだった。
雷針は一定時間を過ぎると、勝手に元の針になる。
それまでその場を動けないが、安全地帯としては
かなり有効だった。
他の魔物にどこまで通じるかは、これから検証して
行けばいい事だった。
「さぁ。今度はさっきのゴブリンを追いましょうか」
「おい、さっきの俺をバカにしてただろ?」
「バカにしてたじゃなくて、本当にバカなんでしょ?
全く、どうしてそんなに自信満々なんですか?もう
ちょっと腕を上げてからにして欲しいですよ」
さっきの戦いから言える事は、メノウはパーティー戦
には向いていない事。
そして、誰かを護衛するような任務には不向きである
事。
そして、メノウの魔法は前衛がいれば確実に巻き込ん
でしまうほど、コントロールが悪い事だった。
これは致命的な欠陥といえる。
一人での戦闘に向いているかと言えば、そうでもない。
敵の位置がわからない場合。
油断しすぎて、逆に危険なのだ。
すぐに調子に乗るので褒めるのもあまりよくないと
いえるだろう。
「まぁ、今回はあくまで戦闘力が知りたかったので
ここで帰るのもいいですが……」
「このまま帰れるかよっ!見つけるぞ、ゴブリンの
巣を」
「う〜ん……今回倒したのが8体ですから、換金す
るのなら、もう少しはいりますね」
「そうじゃないだろ?ゴブリンっていえば、女攫っ
て子種を産みつけるんだろ?絶滅させるべきだろ」
メノウから至って正しい判断が出て来るとは思わな
かった。
「まともな事も言えるのですね」
「まともって、お前なぁ〜、俺はこれでもオスタリア
の第一後継者だぞ?」
「まぁ、それも前までは…ですけどね。いいでしょう
最後まで付き合いますよ。えーっと、向こうですね」
魔道具を使うとさっき逃げていったゴブリンの位置が
わかる。
逃げた先に多くの群れがあるのが分かる。
「これがさっきの先行していたゴブリンの巣ですね」
「俺にも見せろよ」
横から取り上げると、視界を共有する。
「おぉ〜結構いるじゃん」
「予想していたよりも、数が多いですが……問題な
いでしょう」
ハルカはポケットを探るとさっきの雷針と同じよう
な針を取り出した。
「ほら、行くぞ」
「先に行って、敵に突っ込まないでくださいよ?」
ハルカもメノウのあとを追うように駆け出したの
だった。




